題名の通り、応援歌や旧制高校寮歌の文言をパクリまくりです。
21年前、初任地のK小6年担任時、運動会の騎馬戦練習について書いていて、そのまま「え~い、古文風に書いてしまえ」と勢いに任せて書いた学級通信。辞書引きながら、歌集見ながら、書いたんです。古語文法?ひたすら感覚、でっちあげ。
当時の教頭先生に「だれが読むんだ?」と言われた代物。たしかにその通り。伝えようという気持ちはないね。自身のおもしろがりだけで書いたもの。
熊谷賢一(6組)
あなうれしよろこばしたたかいかちぬ
面白きは騎馬戦なり。げにまつこと面白れえ。
練習したるは三時間。はやも時間を食ひつぶし、あとは見てのお楽しみ。
まずは屋形(体育館)の練習にて、おほよそあらまし知らせたり。
熊が組は白なれば、騒ぎたるを横目にて、げに冷たくもかしこくも、立ち給えと告げにけり。
すつとんきようなる顔(かんばせ)の、いとど愛(かな)しき三年生。高学年が立ちたれば、やうやう事態を悟りてか、目つき変はりて胸はずみ、頬を紅に染めにけり。いまかいまかと待ちたれば、次に聞きたる言の葉は、四人にて組を作りなば座り給えとのお告げなり。
齢重ねし六年生、すでに四度のことなれば、訳知り顔にて座りける。然り然りの五年生。
あにはからんや三四年、もめにもめたる組作り。たれか騎馬に乗るぞかし、我も我もの齢なり。すずしげなる顔待ち顔は、歳だけとりぬ五六年、時の流れは世のならひ、思いおこさば数年前、涙流し怒声あげ、鼻水垂らしもめたるを、はや忘れしか五六年。みいんな悩んで大きくなつた。
次なる手立ては騎馬作り。
訳知り顔の五六年、騎馬を作りて歩みたる。暦たどれば去年(こぞ)の秋、一度やりたる四年生、本なる騎馬を見ての後、すぐさま騎馬を作りけり。悩み悩めり三年生、すつたもんだの時を経て、やうやう騎馬の勢揃ひ。
無責任なる熊なれば、あとは知らぬと決めたれば、大将S雄に任せける。胸は高鳴り足震え、不安顔した大将に、注がれしは白組の、あまたの熱き視線なり、大将奥歯を噛みしめり。につたと笑ひし大将の、口から出たる雄叫びは、騎馬を作れのお告げなり。時は来たれり白組の、天まで届けと鬨の声。
赤組騎馬も整ひて、やうやう戦の時は来ぬ。歓声こだます屋形にて、げに騒がしと覚えしか、意地悪き名ぞ聞こへける、教師顔なる熊なれば、知らぬ顔して天井の、板の節目を数へけり。待つこと長き時なれば、大五郎も泣きやみて、遥か異国が渡来品、黄金色なる好物の、辛えも今や食べごろか。じらして笛を吹きにけり。
新たに加へし定めとは、戦のならひ大将戦。一回戦のことなれど、めざすは猛き大将の、頭上輝く帽子なり。剛なる者にて作りたる、J一S雄が大将の、騎馬への道は遠けれど、戦の誉れは先駆けと、兵なる騎馬は争へり。
しかるにどつこい大将は、戦のならひ知らぬてと、誉れを求め勝ち急ぎ、とことことこと出でにけり。本陣かまえ不動にて、風林火山か信玄か、親の仇か恋仇、敵なる大将にらみしが、古来武将の勤めなり。とことこ歩む騎馬なれど、怒涛のごとく押し寄せし、兵なる騎馬をすりぬけて、狙ひし獲物ぞ逃がすまひ、白なるS雄大将と、赤なるJ一大将の、一騎打ちは始まれり。いずれが龍か虎かとて、にやりと笑ひし熊なれど、まばたきするは一度か、共に帽子を奪ふとて、初戦は龍虎痛み分け。さへなき笛をぞふきならし、戦の終わり告げにけり。もちつと頭を使へとは、両者に刺さる刃なり。あはれ兵なる騎馬どもは、嘆息もらし騎馬を解く。
いつ始まりしかは知らねども、長きに渡る伝統か、大将戦の弔ひの、二回戦の勝敗は、残りし騎馬で決まるとぞ、例年馴染みし定めなり。
勝つた負けたと声高く、無駄口多き兵どもに、齢を重ねし熊なれば、堪忍袋が緒も切れぬ。知らぬ存ぜぬ風まかせ、これとて大事な勉強と、節目を数へ時を待つ。
ようやく静寂訪れし、戦の始め笛鳴れり。勝たむと急ぐ騎馬なれば、前脚左、後は右、帽子取りたる定めなれど、騎馬がつぶれりやそこまでよ。度重なりし失敗に、ちつたあ意気を合はせとて、願ひし熊が気も知らず、またもや自滅かお気の毒。
あれよとあれよと時は過ぎ、無情に響くきんこんかん。
訪れしは二時間目、謀りごとも技を増し、攻め手守り手わかれての、攻防奮ひし戦なり。気迫に勝れる白なれば、連戦連覇鼻高し。悔し恥ずかし赤なれば、次なる時は天狗鼻、ぽきりと折つてやるぞよと、臥薪嘗胆幾日か。
今日も今日とて集ひしは、いずれが益荒男益荒女か、奢りの秋は暮れゆかめ、諸行無常の笛は鳴る。自学帳にて謀られし、策は夢か幻か、思ひしままにならぬのは、常にこの世のならひなり。悲し顔なる赤組よ、恨みをのみて地にひそめ、必ず来たる本番で、奮ひて起てる意気見せよ、鍛へし腕試みて、勝鬨高く揚げてやれ。常に勝ちたる白組よ、勝つて兜の緒を締めよ。世の中そんなにや甘かねえ。
赤白がんばれK小つ子、秋のお祭り運動会。飛躍の秋は今なるぞ。
文法まつたく無視なれば、誤りありても許せとて、厚顔無知なる熊の言。
---通信おしまい---
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